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こわれゆく社会の中で

成熟したコミュニティの例の一つを挙げてみたいと思う.

例えば,仕事を進める上で,意見が食い違う場合がある. それで,会議は紛糾する. ある人の主張に対する否定であったり.  異なる意見がある場合にはそれをぶつけてみたり. ある一定の成熟した人達によって行われている場合には,意見の主張であり,ビジネスの利益追従のためであるから,その議論が各個人間の関係性を損なわせる事はない.

私が居るチームのメンバーは私よりも色々な意味で秀でている方ばかりなので,会議中に「そのやり方じゃ,間に合わない!」といって,机をバンバン叩いても,「今日,飲み会やりませ~ん?」と誘ったら,来る. 会議が終わってすぐに何事もなかったように,質問のやり取りが始まる.

私が通常業務で関るメンバはたいていこういう人達なので,それを当たり前に思っていたし,改めて認識することすらなかった.

しかし,これは成熟した人間関係なんだと,最近気づいた. 

この間,2年目の子と私とが同じ会議で一緒になる事があった. 内容はそれぞれの特許内容を,知財部の人に説明し,出願するか否かを議論する場であった. 時間は30分. 一人15分の予定. 参加者はお互いのグループの特許推進委員と技術フェロー(例えば島津製作所の田中耕一さんのような存在). そして,知財担当者.

2年目の子の,資料がいただけなかったのは目をつぶるとしよう. そして,知財部の方の質問に答えられなかったのも,まぁ仕方ないとしよう. それでも,何か言えよ. 知財の人は「一言で言うと,この特許のポイントは何ですか?」と問うたのだから,それに対して何か言え. 固まるなっつーの. 自分の特許だろ? と. 

そんでもまぁ,私は直属の先輩でもないし,"こいつ,ダメダメやなぁ"と割り切って(切り捨てて)いた. その子の指導社員にあたる奴(私の同じ研究室の一個下)も,親心でだまってた. そしたら,技術フェローが怒っちゃったさ!

アイディア出しから,ブレーンストーミング,練成会を経て,ようやく知財部の人に説明しているというのに,あまりにももたついていた.誘導尋問のような質問を投げかけてくれているフェローに対して,しどろもどろ….そしてついにフェローは"キレた".  

あ~あと思う半面,どうしよっかなぁと.仕方ないので,怒っている上司の合間に「ここはこういう事する場じゃないよねぇ」と彼をたしなめ「Time is up」と告げた. 

そうして,ようやっと,怒りを納めた技術フェロー.

そんでだ,こういうのが,最近の新入社員は等々言われる所以だと思うのだけど,彼は何にも言わない.挙句にはフェローが彼に「別にいじめてるわけじゃないんだからね」とフォローまで入れてくれる始末.

つまり,彼はこれまで似たような仲間内でのコミュニケーションしか経験したことがなく,仲間以外の人間や目上の人から注意を受けたり,コミュニケーションを取ったりという経験が乏しかったのだと思う.フリーズしているように見える彼も,頭の中では一人でぐるぐる考えて,てんぱってたんだろう.そして,人によっては,勝手に自己完結しちゃって,キレたりとか,うつになたりとか.極端な例では,仕事を辞めちゃったりとかするんだと思う.

ディスコミュニケーションは実に深刻で,こわれゆく社会の一因(要因)になっていると思う.

私が入社した頃は,めちゃめちゃ怖い上司がいた.どなりちらされて,"くっそぉー"と思った若かりし頃. でも今は,それは"パワハラ"と呼ばれるのかもしれない.

また,成熟していないコミュニティ.この行く末はいかに….

P.S タイトルは,アンソニー・ミンゲラ監督の秀作『Entering and Breaking』の邦題からパクリました.

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コメント

成熟したコミュニケーションは、成熟した社会で、成熟した構成員で成り立つもの。日本社会はまだまだ交渉、議論が苦手な人が多く、どこの会社も大変ですね。

ここだけの話。
ジュードのハムレット独白中にも携帯電話が鳴ったことがあり、ジュードは気にも止めず、そのまま演じていたそうです。
あれだけ毎回ロンドンでサイレンが鳴り響いていたから、きっと慣れっこだったんでしょう。(*^m^)

投稿: judecherry | 2009年10月 7日 (水) 20時06分

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